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芥川賞計画凍結顛末記(6・ラスト)

 本気で嫌がるだろうから名前はふせますが、数年前に新人賞の大賞をとって世に出た若い作家が、今(11年8月現在)、たった1人で大量のサイトに小説や音声や動画を毎日配信し、世界と戦っています。文章だけでなく写真やモデルさんを使っての、新たな発表媒体を模索しています。
 おそらく何の後ろ盾もなく、何の保険もないでしょう。まったくの個人で、独力で、執筆からマネージメントまですべて行っているそうです。
 そのような人間に対しては、嗤うか応援するか、選択肢は2つだけですが、佐藤の職業的倫理観からすれば、応援するのが当然です。
 すくなくとも、自分のフルメイク画像(しかも女装で綺麗)をアップしたり、自作の小説のモデルをさがしに渋谷に行って17歳美少女をスカウト(しかもOKをもらう)なんて、佐藤にはできませんよ。できる人いますか? このなかに。
 いや、できればいいってわけじゃないんだ(笑)。

 作家になっても、ならなくても、ネットの中にいても、外に出ても、作家になって小説を書き続けても、作家になって書くのを中断しても、毎日は確実に過ぎて、あなたは老いる。
 佐藤だって30歳になる世の中ですから、どうやら例外はないみたいですよ。ええ、びっくりしました。自分だけはいつまでも若いって、無条件に信じていたからね。

『芥川賞計画』は、このような結果になりましたが、佐藤個人の『芥川賞計画』も、みなさんの『芥川賞計画』も、まだはじまったばかりです。この星にあるすべての芥川賞にむけて、それぞれ別の場所で……あるときは一緒に仲良く……がんばっていきましょう。
 さあ、あと片づけは終わった。
 まだちょっと散らかってるけど、まあいいよね。
 じゃ、また明日。おやすみなさい。

芥川賞計画凍結顛末記(5)

 というわけで、投稿者を求めない以上、『芥川賞計画』をつづけることはできなくなり、ならばいっそ1人で書いてしまえと判断し、11年3月4日、『中野ゲームショウ2011』の裏番組として12時間執筆放送を行い、新生『介護ガール』はあるていど完成しました。

 でも、それが何だというのでしょう。
「みんなでとろう芥川賞」のコピーで開始したこの企画を、1人でやってどうするのでしょう。

 そうなると、のこされた道は、企画凍結。しかありません。
『芥川賞計画』凍結の道筋は、ざっとこのようなものです。以上。(と書いて6につづく)

芥川賞計画凍結顛末記(4)

 1人で書こうが、友だち10人と書こうが、ネット上の10000人と書こうが、どうでもいいです。距離も人数も関係ありません。
 そういうことじゃないんだ。

 佐藤は『芥川賞計画』という、日本で最も有名な文学賞の名を借用したこの企画で、「これで君も作家デビュー! なんて夢みたいなことは無理だし、そういう煽り文句を見つけたら嘘だと思うのが賢明とは思うけど(笑)、とりあえずここで文章を書いたら、数名の作家陣とつながりを持ったり、出版社とのつながりを持たせたりはできる……かも」くらいのトーンに初期設定しました。すくなくとも、そのつもりでした。
 つまり、「作家志望者のための巨船」ではなく、「才能ある出たがりのためのキャッチャー」だったのです。
 こちらの求める投稿がなかったのは、ここらへんのバランスをうまく伝えられなかったのと、「結局これ投稿しても、佐藤友哉の小説になっちまうんだろ?」という感覚を最後まで払拭できなかったせいでしょう。反省は悲しみを生むだけなので先をつづけます。

 今すぐ作家になりたい人は、長編小説を出版社の新人賞に応募すればいい。
 ただそれだけで、作家になれる。作家にはなれる。
 そうではなく、そういう動機ではなく、この『芥川賞計画』では、『介護ガール』というフリー素材を使いたおして、あるときは大喜利のように、あるときは句会のように、そしてあるときは作家のようにクリエイトしてほしかった。それだけでいいし、それだけで絶対に伝わる。誰かの価値を誰かに見せつけることができる。そう思っていました。

 しかし結果は、佐藤にも伝わらなかった。
 誤解なきように云っておきますが、「投稿がつまらなかった」わけではありません。「佐藤に伝わらなかった」だけです。ほとんど同じことを云っているようですが、いつの世も、「ほとんど」に含まれるわずかな差異が重要なのです。(5につづく)

芥川賞計画凍結顛末記(3)

「インターネットを使って、世間に埋もれた新たな才能を発掘します! 若さ弾けて才能ある、なのにまだ世間に認められぬ書き手たちよ集え! 我々が必ず君を世界に知らしめてみせる!」

 という、ミントキャンディのように清々しく、チョコチップケーキのように甘い文句を、webで、誌面で、果たして何度読んだことか。そしてそのたびに、深い深いため息を何度吐いたことか。
「本当にデビューしたいんなら、ネットでつるんだりしないで一人で書け。孤独に小説執筆もできずに、作家になろうとは甘い。そんなんじゃ、駄サイクルに入ってしまうぞ」という根性論を、今もまだ掲げる人はいないでしょう。
 筆から万年筆へ。
 ワープロからパソコンへ。
 時代の変容とともに執筆環境が変わるのと同じく、コミュニティもまた変わります。

 1人でちまちま書く時代は終わった。とは実は思っていませんし、みんなで励まし合ったり高め合ったりして書くという文化は、ネット以前からあったことなのですが、最初に書いた通り時間がないので省略。空気さえつかんでいただければ、それで構いません。(4につづく)

芥川賞計画凍結顛末記(2)

 親切な文章ではありません。
 というか、いつにも増してぐにゃぐにゃです。
 ぐにゃぐにゃ。という雑な表現を使うあたりで、今回の文体構成を察した方もいるでしょう(笑)。

 この文章、二日酔いのサリンジャーが書いた『シーモア 序章』といったところに着地できれば幸いと判断しています。太宰さんの死に対して安吾が書いてみせた「フツカヨイのマイ・コメディアン」への嘆きもそうですが、心の発酵をもちいて精神的アルコールを醸造すると、怒る人がいて怖いんだよね。嘘だけど。
 読みにくくてもうしわけない。
 ですが、廃墟の時代を終え、今や空虚となったこの掲示板にきてくださり、これを読んでいるあなたであれば通じると信じて、仲間内だけに通じる専門用語……いや、「親友言語」を使っているのです。外の連中なんて気にしない。閉鎖空間もいいよね。たまにはさ。
 ってわけで、唐突に本題に入りますが(笑)、11年2月8日に放送された『重大発表!! 中野+ゲーム+ショウ説=!?』におきまして、「今いただいてる投稿では芥川賞とれないから白紙にする(超訳)」と、佐藤は宣言しました。
「才能ある投稿をしてくださったユーザーにはキャップをあたえて、佐藤や渡辺さんといった作家たちと一緒に投稿し、さあみんなで芥川賞を目指そう!」という当初の計画は、その瞬間、永遠に消えます。
 さらには……データが手元にないので絶対ではありませんが……佐藤は放送内で、このようなことを云いました。云っていなかったのであれば、今ここで云いましょう。
「芥川賞受賞は二の次で、ネットの海に埋もれた才能をすくい上げる企画として立ち上げたのだが、それに見合う投稿はなかった」

 うーん、まっすぐ書くと、まっすぐ響く表現だな……。
 しかし事実ではあるし、事実である以上、「いや、そういう意味じゃないんだよ! 文脈読んでください!」というエクスキューズを巧妙に宿した文章を書くわけにもいきません。(3につづく)

芥川賞計画凍結顛末記(1)

 1から100まで説明する。のは無理なんだ。

 スケジュールとしてもモチベーションとしても極めて難しいため、「なぜ『芥川賞計画』が凍結したのか。原稿はあるのに。新聞にも載ったのに」の件について、骨格と本質のみをつたえます。まことの義侠心があるならば、「だったらいっそ、何も書かぬ」というのが正解例なのでしょうが、ちょっとばかり、心と体を動かす衝動にかられたのです。
 というのも、ツイッター界隈をうろついていたところ、『芥川賞計画』元参加者さんのツイートを見つけたり、去年の今ごろ、『芥川賞計画』が掲示板システムをともない再始動したんだよな〜ってことを思い出したり、芥川賞の総本山たる株式会社文藝春秋の編集者から、「佐藤さんニコ生の生主になって小説を書いているんですよね?」と、スーパー超絶おそろしい誤解をされていたり(笑)と、まあ、企画を立ち上げたときの「空気」を思い出したわけです(註・というわけで注意書き。この企画は、株式会社GTVさん協力のもと行われていまして、佐藤個人の独断的企画ではありません)。
 空気を思い出したとはいえ、しかしそれは瞬間最大風速的な、もうすこしズバッと云えば、一時的なものにすぎません。
「忘れていたあのころの空気……今、すっかり思い出したぜ! やろう! またみんなで!」ということはありません。
 原理としてね。
 嫌がらせじゃないんだ。飽きたわけでもないんだ。

 これから書く文章の大部分は、この掲示板においてすでに記したことなので、時間のある方、誤解なく佐藤友哉の思考を知りたい方は、ざっとでかまわないので、まとめて読み返していただければと思います。
 それでははじめます。(2につづく)

不意に更新

佐藤です

今回は芥川賞が出ませんでしたね。
本当に、本当に残念です。
出版界における数少ない祭……それも極めて派手な大祭……が開かれないというのは、かなりの痛手となります。まったく。ああまったく。

さて、すっかり更新されず、放送もなく、佐藤も含めた企画出演陣が某出版社での仕事に手を広げ始め(笑)、既に出涸らしになったこの企画、そしてこの掲示板を、それでもなお見て、この文章を読んでいる希有で一途なあなたに、ひっそり教えよう。「介護ガール」は死に体だが、佐藤の個人的な「芥川賞計画」は進んでいますよ。

いや

その、みんなが興味を失ったというより、凍結ですからねこの企画。
これ以上、何を投稿しても採用はされません。絶対に。
しかも凍結宣言したのがほかならぬ佐藤ですから……。

どうも誤解があるようだ。
アーカイブも作ってないし、佐藤自身でちゃんと説明すべきか。

これが……ブログ放置!

みんなで……ずっとがんばってきたのに……
興味を失ったら、即、終了……!
残酷すぎる!
非道だ……!
こんなのってあるか……!

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